カリブに散る勇者!友人の裏切り行為に小4の拳は唸ったの巻

きだ。バンゲリングベイが好きだ。
本作発売の当時、オレは小学4年であった。読者諸志の中では生まれていない方も多かろう。
なので、しらないひと向けに「早すぎた」とも言われるこのゲームについてかんたんに説明しよう。

バンゲリングベイは1985年発売のシューティングゲームである。
内容は航空母艦から発進する高性能ヘリを駆り、海に浮かぶ島に点在するバンゲリング帝国の6つの「工場」を全て破壊せよ、というもの。現在でも通用する非常に高度なゲーム性があり、あの8ビットのファミコンで時間、補給、耐久力の概念を導入し、なにより高度な戦略性を兼ね備えたシューティングゲームを表現している。
そう、このゲームの面白さは戦略性にあるのだ。

例えばゲーム内時間の概念。
敵の工場は時間が経つごとに耐久強度が増してゆき、その破壊が難しくなる。さらには工場の稼働により敵の軍備が生産され増強してゆくのだ。つまりプレイヤーは時間との戦いに勝利せねばならない。最短の飛行経路を選んだり、破壊するターゲットの順番、後述するが母艦防衛を優先させるかターゲット撃破を優先させるかなどプレイヤーの判断力を問うてくる。

また航空母艦の存在は弾薬補給と自機耐久力の管理システムを提供している。自機は敵の工場を破壊するために爆撃を行うが、ボムの搭載弾数は9発だ。たった9発で6工場すべてを破壊できるわけではないので、全て投下したら航空母艦に戻り補給をしなくてはならない。自機耐久力はパーセンテージで表示され、ダメージ100%となったときに自機を1機ロストする。母艦は着艦時に自機のダメージを0%に戻す重要な役割を果たす。

プレイヤーは目標となる工場と、常に動き続ける母艦を往復しながら戦ってゆくことになる。

この「自陣に戻らないと弾薬補給と修理がおこなえない」といったリアリティはある意味現在のFPSでもなかなか表現されない部分だ。無限に弾薬を出してくる四次元ポケット援護兵とか、注射すればいくらでも蘇ってくるゾンビ兵士はスポーティなゲーム性を高めているものの、補給を確保するという戦略的なゲーム性は殺している。(思うにこの部分があれば、もっとFPSは高度な戦術ゲームになるのだが、そういうゲームデザインしてくれないかなぁEAさんよぉ)

敵もただ黙ってみているわけではない。航空母艦は敵の爆撃機の標的とされ、空爆を受ける。
どういうわけか対空戦闘能力のない航空母艦は、自機で守らないと1面は70発、2面以降は40発で撃沈されてしまう。撃沈されると残機を全て失い、孤独にたった1機残されたヘリで敵の航空基地を利用して補給回復をしながら戦うことになる。よって母艦は死守。絶対。

すごく面白そうでしょ?だが、しかし。

The クソゲー。当時の小学生にとってバンゲリングベイはクソゲー筆頭である。

こいつが当時としては特殊な自機の操作性をもっている。端的に言うとラジコンのそれなのだが、小学生のみんながみんなスネ夫のようにラジコンを持っているわけではないのだ。十字キーの右を押せば右に、左を押せば左に、とはいかない。FPSを遊んでいる方たちなら左旋回右旋回直進後進という操作性は何ら特殊なものではないかもしれないが、トップビューのシューティングゲームでそれをやった途端に操作習熟の難度が上がってしまうのだった。

ゲームの操作性というものは、かなりの部分でプレイヤーを選んでしまう。どうにも受付がシビアすぎてコマンドが入りづらい格ゲーなんかがちっとも面白くないのと一緒だ。超必殺技がいくらやっても出やしないのに金積んでやるバカはいない。この操作性の習熟難度のため、鼻水垂らした飽きっぽいキッズたちは早々に投げ出し、値崩れする前に我先にと中古屋へ走ったのだった。


日もいつもの様に小遣い持ってファミコンショップに来た。
いらないソフトを売り、欲しいソフトを買うエコシステムを提供するファミコンショップは当時隆盛を極めており、駄菓子屋に変わって子どもたちのたまり場となっていた。

ふと、いつも見ている投げ売りコーナーには異様なパッケージが。(あー関口くんがつまんないと言ってたやつか。ヘリとパッケのエイリアン?が繋がんないんだなぁ)などと思いつつもなんとなく惹かれてしまい、直感を信じる性質(たち)のオレはお買上げである。

で。うちに帰ってやってみたものの、その不思議な操作感に戸惑い、なかなかうまくならなかった。自在に自機が操れないというのは初めての体験で、自室の畳の上でコントローラー握りながら、体を左右にフニィーとしつつ「うごかねーオイそっちじゃねんだよ!」とクネクネ頑張る小学生。画面の上でフラフラと飛ぶヘリ。ずっとそんな感じだった。

数日してもうまくならないので、諦めの悪いオレは攻略本を買うことにした。いまはなき○○大百科シリーズのケイブンシャ(ああ、ケイブンシャよ・・!)の分厚いやつ。たしか380円かな。

オレはこれでちょっと人生が決まってしまった感がある。かなりの影響を受けた。

非常に対象に愛着ある人がそれについて考え、記すとき、ほかの人が気づかない魅力や美しさ、楽しみを見出してゆくと思う。例えば女の本当の魅力も惚れてみないとわからんわけで、相手のことを四六時中考えているからこそ多くの想念や哀歓がある。それと同じように、ハンゲリングベイに惚れ込んだ人たちが嬉々としてこの攻略本を書いたのだろう。

情報が秀逸だったのは言うまでもないが、なによりも攻略本の随所に散りばめられた表現が素晴らしく(ヘリ墜落:”海が赤く染まるとき、また一人、戦士が散ってゆく”とか、母艦沈没:”見よ、この虚しさを!”とか、没入感をくすぐってくる)その骨っぽい熱のこもった世界観の展開に魅了され、のめり込んでしまった。#どんな本だったか?別の人が書いてくれている。→バンゲリングベイの真実

熱は確実に魂に移った。

負けると分かっていても信念を貫き戦い続けるAH-64のパイロットをはじめとする航空母艦R・レーガンの乗組員たちは、彼の目指す理想であり、自分の命を敵に精一杯高く売りつける姿は、少年にとって理想の死に様となった。


■パイロット暁のカリブに散る

Misson5を過ぎて敵の攻撃は苛烈さを増してゆく。
スコアで昼、薄暮(はくぼ)、夜間、払暁(ふつぎょう)と景色が変わるが今は一周りして2回めの夜間だ。

敵のミサイルの威力が上がり、今まではダメージ40で済んでいたが60になった。2発でお陀仏だ。ガガガガガガという独特の飛行音を出しながら飛んでくるF-18 トムキャットは黒いキャノピーで、のんきに飛んでいるとすれ違いざまにミサイルを叩き込んでくる。また高射砲が通常弾だけではなく誘導ミサイルを結構な頻度で打ってくるのでかなり危険だ。

シュシュシュというミサイルの追尾音が聞こえたら旋回しつつ躱さなばならないが、ノーダメージのAH-64のターボタービンは快調なので、ヘリならではの小回りを活かして誘導ミサイルを避け、バルカン砲でミサイルを叩き落とすことも出来る。ただしダメージが50%を超えると出力が落ちて速度が出せなくなるので誘導ミサイルを撃ってくる高射砲のいる陸地は避けて海だけを飛ぶ羽目になったりする。
いま攻撃を巧みに避け、母艦から最も遠いフォックストロット島(F島)に到着し、工場を破壊するべく爆撃に移る。

ホバリングしてのんきに爆撃をしていたら通りすがりの戦闘機に瞬殺されるので小さく旋回しつつ爆撃。投下位置は飛行スピードで変わるのでタイミングよく投下しないとならない。数発投下するうち工場の明かりが消えた、機能停止状態だ。あと5発落とせば破壊できる。そして手元にはまだ弾薬が残っている。あと、ものの15秒ほどだ。

母艦襲撃のアラートが鳴った。航路近くのレーダーを破壊しといたはずなのに、なんでこんな時に爆撃にあってるんだ。
あの赤いキャノピーの航空機はホーネットらしいが、しつこくてホントにいやらしい野郎だ。大丈夫だ、とりあえず工場を破壊してから救援に向かおう。時速880キロの愛機は早い。間に合うさ。それまで待っていろよ戦友たち。

F島から急行し、空母のいる海域に到着した。ともかく早くホーネットを叩き落さないと。
あの母艦には5000人からの仲間が乗っているのだ。

2機で必ず襲撃してくるホーネット1機を撃墜したものの、どういうわけかもう1機にバルカンが当たらない。偏差射撃をきちんとしているのに、すんでのところで当たらないのだ。焦る。もうだいぶ爆撃されているぞ。

数瞬後、母艦が連続的な爆発を開始し時を待たずに消滅した。画面にはSANK!の表示。
飛行甲板にいた仲間たちが敬礼しながら海に沈んでいったのが見えたような気がした。

たった1機のこったオレは諦めないで孤独に戦い続けた。せめて次のステージに行きたい。
スコアを2万点足して、眼下の海と島々は漆黒の夜から青緑色の払暁に溶け込んでいた。
そこにQ型戦艦が出航したアラートが鳴った。
いいだろう。死んでいった仲間の手向けに最後にやつを倒してやろうじゃねぇか。
ゲームは一日一時間、このプレイで最後だからな。

強いー。画面に入った瞬間に誘導弾を発射してくる上にデカイ工場と違って艦船なのでやや的が小さい。ヘリのダメージは母艦がない今は敵の航空基地を利用して回復しているが、50%までしか回復できないので最高でも70%ほどしか速力が出ない。
だが、戦える。しかし襲撃3回目にして撃沈できるかとほくそ笑んだ瞬間、船首上空でミサイルを連続で当てられダメージが250%超えた。

これまでか。もうほとんど制御できなくなったAH-64だ。エンジンが止まる。
ダメージを示す海は真っ赤になった。あと3秒で落ちる。

だが、まだやることが残っている。
暴れる機首を強引に戦艦に向ける。カリブの海に最後の戦士は死に、戦艦は爆発沈没した。

帝国は世界を征服したろう。だが、いつしか勇敢だった男たちの話は風に乗って伝わり未来の神話になったはずだ。
今日は寝よう。


口くんはどことなくたぬきに似ている小太りの憎めないやつだった。
「いや、テメーつまんねぇとか言ってすっげーおもしれぇんだけど」
「つまんないよ。だってエンディングとかないじゃんクリアもないし」
「いんだよ。そういう戦い続けるなんだか救いのない感じが」
「おれはつまんないとおもう。だから売った」
「とりあえず2Pやるべ」

◀2Playerはバンゲリング帝国側となり、マイク(!)で敵のジェット機を呼び寄せ、高射砲の操作が出来る。Aボタンで通常弾、Bボタンで誘導ミサイルを発射できる

 

 

やり始めてちょっとして関口くんは口を開いた。「おい」
「うー?」
オレと違って育ちのいい関口くんがちょっと怒り気味に話し始める。顔は画面を見たままで真剣だ
「マイクで歌うな、やめろ。戦闘機がこんな来てたら工場を壊せないだろ!」
「知りませんなぁ♪いやがらせ、最高ー!」
「高射砲の誘導ミサイル禁止。絶対!」
相手が怒ってると調子に乗ってしまうオレの悪い癖が出てしまう。
「おまえねーやめろやめろってダッセェなオイ!ドッヂボールで玉投げないでくだしーって言う?言わねーよな!」
「・・・・・」
ペンペンペンペン
「お、爆撃のアラートですよ。空母ピンチ」
「・・・・・」

関口くんはあろうことか敵の爆撃機といっしょに自分の母艦を爆撃し始めたのだった。
「おいてめーなにやってんだよ!ちゃんとやれよ!」
「いんだよもう。終わりにしてーんだから」
「なに言ってんだよ。じゃぁリセット押せや。空母には仲間が乗ってんだぞ!」
「?」

ボンボンボンボンぼかーん SANK!

「はぃや!」
フック気味にボディブローを入れたのが腎臓あたりにいい感じに入って関口くんは悶絶した。今考えると自分でもかなりヒドイと思うが、その時には本気で怒っていたのだった。
「なにすんだよ!」喧嘩開始である。

どちらともなく応酬をやめて、バツが悪くなったオレは最近便所にも持ち込んで読んでいる攻略本を関口くんに渡した。
「これ、おもしれーから」

翌日。
関口くん「ヘリってかっこいいいよな。と言うか空母乗りてぇよ。日本にいねぇけど。今日帰りお前んち、よるわ」
攻略本はどっかにいったきりで、帰ってこなかった。でもそれでいいと思った。

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